みなさん、こんにちは!!
今回は2019年11月9日に電撃文庫から発売された「地獄に祈れ。天に堕ちろ。」を紹介します。
まず始めに、私がこの作品を見て思ったことがあります。
「何だこの厨ニちっくなタイトル!?」
と言いつつも、カッコいいタイトルだなと思っていたわけで….とても惹かれるタイトルですよね。
内容自体はダークヒーローの話なのですが、世界観も面白く、クールだけど熱くなれる?作品でした。
また、読み応えもあったので個人的に非情に良かったです。
それではさっそく紹介していきます!!
どんな話??
短く言えばこんなあらすじ…
数十年前の大災害を境に、この世界は死者が闊歩する世界となった。
中でも、東凶の街はとっびきりの亡者の街。
そんな街で、亡者を殺す亡者として死神と呼ばれる者がいた。
彼は犯罪(悪)を犯す亡者を地獄に返す仕事をしていた。
そして、今日…
ある任務を抱えた亡者嫌いな聖職者がこの東凶の街にやってきた!?
相性最悪な二人が邂逅するとき、この街に新たな事件が舞い込む!!
詳しいあらすじ
十年前。
夜空に生まれたもう一つの月から、大量の「死」が流れ落ちた。
それは触れる者に死を運び、死んで死者となった者は地上を歩き回った。
世界的大混乱ののちに死は収まり、赤い月が居座る頃、何もかもが変わり果てていた。
それから十年経ち、意外と人類は滅びていない。
生ける死者(亡者)が闊歩する世界で、人類は崩壊の起点となった都市を封鎖。
主人公”御殺十三”が住む東凶もその都市の一つである。
ミソギはこの都市で、亡者でありながら亡者を地獄に送り返す仕事をしていた。
対象となる亡者は悪人。
奴らのツケを回収し、地獄に送ることで閻魔様から報奨金を得る取り立て的な仕事だ。
そして、その仕事内容のせいか、圧倒的な強さのせいか、彼は周囲から<死神>と呼ばれていた。
そんな彼には最近気になる物が…
今日も、子供をヤク漬けにするという悪を犯した亡者を捕まえて、ミソギは気がかりな情報について尋問する。
「面談の時間だ。幽体麻薬、エンジェルサイトの出所を教えろ」
エンジェルサイト(通称:As)
吸引するとたちまち「天国にいるみたい」となれるその麻薬こそ、最近東凶の街がより荒れてきた原因の代物であり、ミソギが気になっている物であった。
「は….知らないねぇ」
どうやらこの亡者は下っ端らしい。
それでもこの悪人から情報を絞れるだけ搾り取って…
今夜、重要な積荷が港に運び込まれるーーー
次の仕事に向かうのだった。
ーーー時同じくしてーーー
「…..け、汚らわしい…..」
そう呟くのはある任務を受けて、東凶の街にやってきた聖職者の少女”フィリス・カタリナ・フォークス”。
当たり前のように亡者が歩き回り、白金色の月と傷のような紅い月が並ぶ異様な光景。
本音を言えば早く退散したい所ではあるが、同行していた男がどこかへ言ってしまった以上どうもできない。
そう困り果てているとき…
「あ、ちょっとちょっとそこのおねーさん!」
チンピラ風な亡者が近寄ってくる。
フィリスはその亡者を一瞥し…
ーー麻薬中毒者。
目の焦点も合わず、夢でも見ているようにハイな亡者を見て確信する。
すると、その亡者はフィリスに掴みかかり….
「あんた人間?あのね、君みたいなのパーツで売ったらいい金になるんだぁ。」
と言い、フィリスに詰め寄る。
しかし….
「僕のお姉さんに何か用かな」
突如フィリスの背後に人影が。
”アシュトン・グレゴリー・デリック”
突如現れたその人物こそ、フィリスと共に東凶にやってきた聖職者であり、その実たった五年で百人余りを手にかけた大量殺人鬼である。
彼は姉という存在に対し異様に固執し、任務中もフィリスを姉だと思っている。
「大丈夫だよ姉さん。僕が話を付けておくから」
まずい。
彼の言う話を付けるとは「殺る」ことであり、今騒ぎを拡大させたくはない。
そう思っていると…
「ぐぼげーッ!?」
横から突っ込んできた黒い車にチンピラがふっ飛ばされる。
そして、その黒い車の運転者が…
「冥途に帰るか?リストにゃ載ってねぇが、お望みなら手伝うぜ」
ミソギであった。
ミソギはまだ増えそうな亡者達を見て、彼らを車で逃がすことを提案するが…
「乗っちゃいけないよ、姉さん。彼も亡者だ。何をされるかわからない」
アッシュが即座に断る…が、ミソギの提案は現状を穏便に済ませる最善の手段。
「いえ、乗ります。アッシュ、えと、姉さんの言うことを聞いて……!」
「ーーーーーーうん。分かった。姉さんはいつも正しいからね」
先程までの態度が嘘かのように答えるのだった。
そして、ミソギに適当な場所まで送り届けてもらい、二人は車を降りる。
聖職者なのに亡者に助けてもらったことで、複雑な気持のフィリス。
そんなフィリスに対し、アッシュは単独行動中に得た情報を話す。
「これから港に大事な荷物が運び込まれるらしい」
かくして同じ目的に差はあれど、今夜同じ場所に集ってしまう死神と聖職者。
そして、彼らが再び邂逅する時…
「……あのな、無駄にやり合う気は、」
「次は君を喰らう」
新たな戦いの幕開けとなる!!….と思いきや??
「我々とあなたは目的が同じなんだとか。ですから、双方協力し合って….」
「か・え・れ。国に戻って鰻ゼリーでも食ってろ」
「そこだけは意見が合ったみたいだ。亡者とは組まない」
エンジャルサイトの主犯格を捕まえるための協力関係に!!?
絶対に相容れないと思われた両者….
同じ目的を果たすために生まれたチグハグな関係が今始まる!!
こんな人におすすめ
- 濃厚な設定、読み応えある作品が読みたい!!
- 魅力的なキャラ達と複雑な関係性
濃厚な設定、読み応えある作品が読みたい!!
この作品の世界観は非情に独特で、設定や展開も非情に細かく読み応えがあります。
まず世界観については、舞台となる都市は現実世界と似ています。
しかし、その都市には人間と死者という2つの人種がおり、秩序もへったくれもない荒廃した街となっています。
(といっても、人間の数は非情に少数ではありますが….)
読んでいても、その都市のブラックさというか薄暗さというか違法的な物を感じて、非情に惹き込まれる作品となっています。
また、2種類の人種も重要な要素となります。
そもそもの話、都市内では死者が圧倒的な力を持ちます。
なぜなら、彼らは死んでも死なないことに加えて、その特性を利用して身体的に強化された死者も数多くいるからです。(ドーピングとか)
そんな彼らによるド迫力なバトルも、もちろん見どころの一つですが…
この都市で暮らすネジの外れた人間も見どころです。
この作品では都市で暮らす二人の人間が出てくるのですが….
バトル以外の面で、非情に重要となってきます。
商売とか、なぜこの都市でわざわざ過ごすのか?とか…
人間の奥底にある欲みたいな部分に触れた気がしました。
また、ネタバレになるので言いませんが…
世界に死を運んだ大元となる災害。
あの災害や、その時に起こった別の悲劇もこの後のストーリーに非情に関わってくる要素となっています。
そんな濃密な世界観と張り巡らされた展開が凄い!!
魅力的なキャラ達と複雑な関係性
この作品は三人のメインキャラから成ります。
一人目は亡者であるミソギ。
彼は地獄の閻魔様と契約し、悪を犯した死者を地獄に送ることで報酬を得ています。
その目的は…..
言えませんが、彼が重度のシスコン(全く関係ない)とだけ言っておきましょう。
なお、妹は都市の外で普通に生きていて、たまに電話しあっています。
二人目は聖職者であり、大量殺人鬼であるアッシュ。
あらすじではパパっと紹介していましたが、彼は姉という存在に異様に固執しています。
そして、彼が聖職者となったのも姉の存在が大きいと言えますし、大量殺人鬼となったのも同様です。
加えて、亡者嫌いも姉の影響?洗脳?が原因です。
だからこそ、東凶という都市自体嫌っており、ミソギとも共同関係にはなりますが、不服というのが目に見えて分かる態度です。
まさに、今にもミソギを殺りそうな….
そんな彼の手綱を握っているのが、三人目のフィリスです。
彼女はアッシュの姉役として、付き添って来たというのが正しそうです(実際は任務だが)
というのも、アッシュは金髪で17歳ぐらいの少女を姉と間違えるように洗脳?されており、この条件にフィリスがピッタリハマっていたわけです。
なのでフィリス自体はアッシュとは同じ組織所属というだけで、アッシュのことはほとんど知りません。
それでもアッシュの手綱を引くために、姉を演じてミソギとうまく協力するようにしています。
そう考えると、ミソギとアッシュはバトル面で超活躍ですが、あまりフィリスが役に立ってなさそうな気もします。
しかし、ご安心を。
彼女が中盤・終盤である意味最も活躍するといっても過言ではありません。
精神面で。
なので、この三人は合わなそうに見えて、この三人でなければ駄目な関係性であったと読んだ後に気づきます。
そして、彼らの魅力にきっとのめり込むはずです。
そんな彼らの成長も見どころです!!
総評
今回は「地獄に祈れ。天に堕ちろ。」を紹介しました。
読んだ感想としては、世界観とキャラの魅力・読み応えなど、どれも高クオリティな作品でした。
世界観などの詳細は前述したので、特に書きませんが設定も細かくのめり込めました。
最初は異世界転生ばから読んでいて、細かい設定やあれこれから遠ざかっていたので、設定の細かさに若干読みづらいなと思っていたのですが….
しっかり読み勧めていくと、作品のダーク感というか荒廃した世界観が伝わってくるようで面白かったです。
単純に私が、この手のダークヒーローとか世界観が好きというのもありますが….
こういう作品は頻繁に毎月頻繁に出るわけではないので、楽しく読めました。
という感じで、私はべた褒めしていますが、もちろん苦手とする方もいるかもしれません。
作品やジャンルをディスるわけではないですが、異世界転生や淡々と進むラブコメとかを普段から読んでいる人は、積んでしまう(積み本)可能性ありです。
ただ、しっかり読みこめれば、めっちゃ面白い!と思えると思います。
また、キャラの魅力・成長も良かったです。
不仲の二人が大きな敵に立ち向かう中で段々と協力し合う。
これはありがちですが、やはり熱くなれる展開です。
特にこの作品は両者がお互いを超嫌い合っているため、終盤では私の顔が終始ニヤけてました。
次に読むのにかかった時間ですが、”四時間”でした。
普段の私の読了時間からすると、かなり時間がかかっていますが…
単純に読み込んでいました。
普段は結構飛ばし読みが多いので 笑
読み応えがあり、本のお値段以上に楽しめました。
満足、満足。
ただ、飛ばし読み向きではないです。
おそらく読み終わったときは何がなんだかで終わるでしょう。
なので、時間をかけてもしっかり読むことをおすすめします。
最後にこの作品が売れそうかですが….
現状怪しい気がしています。
面白いのでもちろん売れてほしいですが、どうだろう….
マッド・バレッド・アンダーグラウンドが2巻目も出ているので、可能性はあるのですが….

第一巻のボスが結構大物過ぎたのと、やはり人を選ぶ内容ではあるというところです。
う〜む、分からない!!
勘です、以上。
ということで、今回は「地獄に祈れ。天に堕ちろ。」を紹介しました。
気になった方はぜひ読んでみてください!!
それでは今回はここらへんで!!