みなさん、こんにちは!!
今回は2020年6月18日にガガガ文庫から発売された「シュレディンガーの猫探し」を紹介します。
「私が迷宮入りにしてみせよう」
ーー作品帯に書かれた謎の一文。
「何のことやら?」と読み始めて、明かされたのは...
『謎解き』ではなく、『謎隠し』をする
のが、この作品であったということです。
世の中には明かされることで輝きを失う神秘や、知りたくなかった現実だけが残ることもあります。
それを『探偵』が解明できないように、証拠隠滅していくというのが、コンセプトでした。
果たしてどんな作品に仕上がったのでしょうか?
ちなみに、この作品は『小学館ライトノベル大賞<審査員特別賞>』です。
それでは、さっそく紹介していきます!!
どんな話??
こんなあらすじ...
探偵は”真実”を求め、魔女は”神秘”を求める。
とある悩みを抱えた主人公は、知り合いの薦めで『迷宮落としの魔女』が住む館に訪れる。
彼の持つ悩みは、妹が容疑者として疑われている事件のため。
彼は妹が犯人では無いことは知っているのだが、ある事情から、その理由を話せない。
というのも、彼の妹は『知り得ない情報を視る』ことができるのだ。
しかし、そんな言い訳は通用しないことに加えて、この事件を解決するために『名探偵』が動いているという。
そんな状況を打開するために、『迷宮落としの魔女』の元を訪れたのだが...
「私がこの手で何としてでもーーー迷宮入りにしてみせよう」
『魔女』が求めるのは、解決されない『神秘』。
この一件を皮切りに、『魔女』と共に過ごす日々が始まり...
総評
今回は「シュレディンガーの猫探し」を紹介しました。
読んだ感想としては、『謎を隠す』という部分で新鮮さはありましたが、三つほど気になる点はありました。
まず、気になったポイントの1つとしては...
『そこまで大きな事件の解決はしない点』です。
これに関しては『学園ミステリー』というジャンルでも同じなのですが、この作品では学園外の事件でも同様の傾向にあります。
というのも、この作品のコンセプトは『謎を隠す』ことで、『魔女』の好きな『神秘』として事件を収束させることにあります。
しかし、これは言ってしまえば、ただの『証拠隠滅』です。
そのため、あまりにも犯罪的な事件だと『証拠隠滅』自体が倫理的に...となるので、恐らくヤバめの事件は扱えなかったと思われました。
次に気になったポイントは...
『迷宮入りの謎隠しが甘い点』がです。
この作品における『謎隠し』もとい、『証拠隠滅』...
そのためには、『探偵』が思いついた論の物的証拠を消す必要性と、『探偵』が謎を解くための『意欲』を削ぐ必要があるのですが...
「それだけでいけるか?」と単純に思ってしまいました。
加えて、事件のトリック自体も結構簡単なモノが多かったので、予測可能で「そうだろうな...」という感想が一番に来ました。
ミステリーとしては普通という感じですね。
最後に気になったポイントは...
『結局、非現実的な部分も含まれてきてしまった点』です。
この作品冒頭の書き方的に、『実は解明できることを神秘のようにする』ことが作品のコンセプトだと私は思っていました。
しかし、実際はラストで非現実的な方法が出てきます。
なので、途中までの非現実的でない方法と非現実的な方法が合わさって、ごちゃっと感じてしまいました。
「今まで信用していたものとの、結局どっちを信じたら...」という感じです。
ただ、これに関してはどうやら次巻も出るようなので、そこで解消されることを願います。
ただ、現状だと色々詰め込まれて、最終的にどっち付かずな印象を受けました。
次に読むのに掛かった時間ですが、”3時間半”でした。
読み応えがありました。
各章の最初にある挿絵もいい味を出していました。
最後にこの作品が売れそうかですが...
先程も書きましたが、次巻は出るようです。
ただ、このままだと...(売れるか)微妙な微妙な気がしています。
いっそのこと、非現実的な方に完全シフトした方(多分次巻はそうなる)がそういう作品として受け入れられるので、良さそうな印象でした。
ということで、今回は「シュレディンガーの猫探し」を紹介しました。
気になった方は読んでみて下さい!!
それでは今回はここらへんで!!