みなさん、こんにちは!!
今回は2020年8月7日に電撃文庫から発売された「さいはての終末ガールズパッカー」を紹介します。
『見知らぬ世界の大冒険』+『二人の絆の物語』
こちらの作品の舞台は、人類の文明が滅んだ二千年後ーーー
太陽がしぼみ、大地が雪と氷に覆われた極寒の世界です。
その世界で主人公は、自動人形<オートマタ>の相方と過ごしていたのですが...
ラジオから気になる声が聞こえてきます。
このとき、相方の自動人形も身体の不調が目立っていたため、その世界を目指し...
大冒険に出る!!
という作品です。
そう言えば特に関係はありませんが、同じく電撃文庫から『ラジオ』と『大冒険』という共通点で経緯が似ている作品「こわれたせかいのむこうがわ 〜少女たちのディストピア生存術〜」があったな〜ということを思い出しました 笑

ということで、さっそく紹介していきます!!
どんな話??
短く言えばこんなあらすじ...
人類の文明が滅んだ二千年後、世界は極寒に包まれていた。
どんなものにでも終わりはくるんだーーー昨晩母を亡くした”レミ”もその言葉を理解し、墓を掘っていると...
「...あれ?」
雪の中から、白銀の髪をもつ少女を見つける。
それが、少女ーー自動人形<オートマタ>の”リーナ”との出会いであった。
レミとリーナが出会って、八年後。
彼女達の世話をしてくれたおじいさんも亡くなり、リーナの身体にも不調が見え始めていた。
そんな中、彼女達は倉庫の奥にあったラジオから...
『この世界の果てに楽園があります。』
という気になる声を聞く。
そして、レミはそこならばリーナの不調を治せる手段があるのでは!?と急遽冒険を開始!!
しかし、外の世界は一面が雪に覆われた厳しい世界。
だがそんな世界にも...
一人の自動人形が働くホテル
車を使って運び屋をする豪快な女性
蒸気機関を駆使して、懸命に生き残る街
そして...
多くの人間や自動人形達との出会いの中で、レミとリーナは...
この失うばかりの世界で、大切な人やその人のために遺すモノに気づいていく。
総評
今回は「さいはての終末ガールズパッカー」を紹介しました。
読んだ感想としては、美少女二人による微笑ましい会話がありつつも、真面目パートでは厳しい世界の現実や自分に何が出来るか?が真剣に語られており、一巻だけで満足出来る作品でした。
まず、『美少女二人による微笑ましい会話』についてですが...
この作品では主人公の”レミ”とオートマタの”リーナ”がメインで話が進行していきます。
そして、彼女達二人には明確な関係性があり...
思いつきや感情のままに一直線なレミと、彼女の行動に振り回されるリーナという構図です。
「ありがちだな」と言ってしまえばその限りではありますが、この作品の世界観であれほど自由で前向きに生きている主人公を見ると、「すごいな」とただ感嘆します。
もちろん、彼女の行動に振り回されつつも天然をかまし続けるリーナにも!
そんな二人の微笑ましさがあるからこそ、普通ならシリアス一直線っぽい世界観でも終始楽しく読めたのかなと思います。
次に『真面目パート』ですが...
この作品全体のテーマとしては、『死』だと思います。
というのも、そもそもこの作品の世界は『死』が身近にあります。
それは『極寒の環境』もありますが、かつての『戦争の名残』や『オートマタの死』が身近にあります。
特に、『オートマタの死』に関しては、主人公の相方でもあるリーナが抱えている問題です。
というのも、『オートマタ』は主人公達の生きている時代にはもう生産されておらず...
オートマタの心臓に使われるパーツも、既に生産が不可能な世界となっています。
加えて、オートマタが生産されていたのは、その時代から何千年も前のため、リーナや主人公が出会うオートマタたちも、既に寿命が間近となっています。
ちなみに、オートマタの心臓に使われるパーツは、それ以外にも重要な使いみちがあり...
その1つが主人公達が途中で発見する蒸機関の街の動力源でした。
更に、若干ネタバレですが...
ちょうど主人公達が来た時に、その動力源が壊れてしまいます。
その時、リーナは自分の心臓を差し出して、お世話になった街の人々を救うか否か?の選択を迫られます。
そして、これこそが作品のテーマ『死』における重要な部分、『失うばかりの世界で自分が何を残せるのか?』という部分にも繋がってきます。(これ以外にも似たような選択はデてくる)
何とも泣けるシーンでした(若干ゆらいだ)
また、ちょっと話がズれますが...
オートマタは死に近づくと夢を見るようになると作中で書かれています(オートマタは寝ないので、普段は絶対に夢を見ない)
しかし、作品の後半に行くほどリーナの夢の描写がどんどん増えていき...
リーナの死の気配を嫌でも感じ始めるのが、自身の感情にささりました。
まとめると、相方の『死』をテーマに真面目パートがありつつ、二人の微笑ましい会話がそれを包み込んでいる作品でした。
次に読むのに掛かった時間は、”二時間半”でした。
読み応え十分でしたが、先が気になってイッキ読み出来る作品だと思います。
最後にこの作品が売れそうかですが...
一巻完結だと思うので、次巻は無いと思います。
一巻だけで満足出来る作品だったので、気になる方はぜひ!
ということで、今回は「さいはての終末ガールズパッカー」を紹介しました。
もしかして、昨日人生初のカフカの「変身」を読んだから、感情的に読んだのでしょうか... 笑
それでは今回はここらへんで!!